こんにちは!現役エンジニアのP助です。
[第4回]では、ベランダに最適なフレキシブルパネルの選び方と、影に強い「全並列接続」について解説しました。
システムもいよいよ完成間近ですが、今回は各機材を繋ぐ「ケーブル」のお話です。 地味な存在ですが、実はDIYソーラーにおいて一番「火災リスク」に直結するのが、このケーブル選び。エンジニアとして、絶対に失敗しない配線術を伝授します。
1. 100Aの衝撃!家庭用コンセントの「7倍」が流れる!?
「たかが12Vのシステムでしょ?」と侮ってはいけません。
電圧が低いということは、同じパワー(ワット)を出すために、その分とてつもない電流(アンペア)が必要になるということです。
例えば、1000Wのインバーターで家電を動かす時、バッテリーから流れる電流を計算してみましょう。
$$1000W \div 12V = 83.33…A$$
変換ロスを考えると、ピーク時には約100A近い電流が流れることもあります。
家庭用コンセント(最大15A)の約7倍です。普通の細い延長コードをここに繋いだら、一瞬で熱を持って溶け落ちます。
2. 「sq(スケア)」と「AWG」の比較一覧表
電気の世界では、ケーブルの太さを「sq(スケア)」や「AWG」という単位で呼びます。
これらが混在すると混乱しやすいため、DIYでよく使われるサイズを中心に比較表を作成しました。
ケーブル許容電流の目安表
| AWG (米国規格) | sq (断面積:mm2) | 許容電流の目安 (A) | 主な用途のイメージ |
| AWG 16 | 1.25 sq | 約 15 〜 19 A | 小電力デバイス、信号線 |
| AWG 14 | 2.0 sq | 約 20 〜 27 A | 一般的な家庭用延長コード |
| AWG 12 | 3.5 sq | 約 30 〜 37 A | ソーラーパネル配線など |
| AWG 10 | 5.5 sq | 約 40 〜 49 A | チャージコントローラー周り |
| AWG 8 | 8.0 sq | 約 50 〜 61 A | 中規模システムの幹線 |
| AWG 6 | 14 sq | 約 75 〜 88 A | バッテリー接続(小〜中規模) |
| AWG 4 | 22 sq | 約 100 〜 115 A | インバーター〜バッテリー間 |
| AWG 2 | 38 sq | 約 145 〜 162 A | 大容量インバーター配線 |
【重要】ケーブル選定時の注意点
この表に記載している数値はあくまで一般的な目安です。実際に流して良い電流は、ケーブルの被覆(絶縁体)の耐熱温度、配線する場所の周囲温度、複数のケーブルを束ねるかどうかといった条件によって大きく変わります。
実際に施工する際は、必ず使用するケーブルのメーカーが発行しているスペックシート(仕様書)を確認し、安全率を十分に見込んだ設計を行ってください。
3. バッテリー寿命を伸ばす「たすき掛け配線」の極意
バッテリーを2個以上並列に繋いでいる方に、ぜひ実践してほしいのが「たすき掛け(対角接続)」です。
普通にプラスとマイナスの両方を「1台目のバッテリー」から取ってしまうと、手前のバッテリーばかりが酷使され、奥のバッテリーがサボってしまいます。その結果、手前だけが先に寿命を迎えることになりかねません。
【エンジニア流・正解の繋ぎ方】
- プラスの線: 1台目のバッテリーの端子へ
- マイナスの線: 最後の(一番奥の)バッテリーの端子へ
こうすることで、すべてのバッテリーを流れる電気の道のりが均等になり、バランスよく充放電できるようになります。これだけでシステムの安定性が大きく変わります。
下記はおススメのケーブルです。使用箇所はMPPT⇔バッテリー、バッテリー⇔インバーター
太陽光パネル⇔MPPTはこちらがおすすめです。
太陽光パネルが増えたときにおすすめの合流ケーブルはこちらです。
4. 「緩み」は火災の元! 締め付けは確実に
ケーブルを端子に繋ぐときは、必ず「丸型端子(R端子)」を使い、ボルトでガッチリと固定してください。
「指で揺らして動かない」のは当たり前。スパナやレンチを使って、しっかりトルクをかけるのがエンジニアの鉄則です。 接触が悪いと、そこが抵抗になって熱を持ち、最悪の場合は発火の原因になります。

