【第2回】インバーターの選び方:エアコンと除湿乾燥機を動かす「電力計算」と絶対条件

②DIY実践・ベランダ発電システム構築

こんにちは!現役エンジニアのP助です。

[第1回の概要編]では、無資格で安全にベランダ太陽光システムを構築するための大前提「30Vの壁」についてお話ししました。 今回からはいよいよ、システムを作り上げるための「パーツ選び」に入ります。

最初のターゲットは、太陽光パネルで作った電気(直流)を、家の家電が使える電気(交流100V)に変換してくれる魔法の箱、「インバーター」です。

このインバーター選び、適当に「これくらいでいいかな」と買ってしまうと大失敗します。 「自分が何を動かしたいのか?」から逆算して、絶対に失敗しない最適なインバーターを選ぶステップを解説します!

ステップ1:使いたい家電の「消費電力(W)」をリストアップしよう

インバーターを選ぶための第一歩は、動かしたい家電の消費電力(ワット数)を知ることです。 今回は、筆者の家でも実際に動かしている「エアコン」、部屋干しの強い味方である「除湿乾燥機(コロナ製など)」、そして「スマホの充電」の3つを例に計算してみましょう。

  • エアコン: 約 750W
  • 除湿乾燥機: 約 200W
  • スマホの充電: 約 15W

さて、ここからが重要です。これらの家電を「同時に使うのか」「別々に使うのか」で、必要なインバーターの大きさが全く変わってきます。

パターンA:全部「同時」に使いたい場合

「エアコンで涼みながら、除湿乾燥機も回して、スマホも充電したい!」という場合、消費電力はすべて足し算になります。 750W + 200W + 15W = 965W

「定格1000Wのインバーターならいけるのでは?」と思うかもしれませんが、これは限界ギリギリの綱渡り状態です。インバーターに負荷がかかりすぎて寿命が縮むため、同時使用を前提とするなら「定格1500W」や「定格2000W」へのランクアップが必要になります。

パターンB:「単独」で使う場合(オススメ)

「エアコンを使う時は除湿乾燥機を止める。除湿乾燥機を回す時はエアコンを切る」という運用ルールにすれば、一番消費電力が大きいのはエアコンの「750W」になります。 ベランダ太陽光の限られたバッテリーを有効に使うなら、この「単独使用」を前提にシステムを組むのが、コスト的にも一番賢い選択です。

ステップ2:最大の罠「突入電流」を計算に入れる

「なるほど、単独使用で最大750Wなら、1000Wのインバーターを買えば余裕だな!」 ……と思った方、ちょっと待ってください!それが最大の罠です。

エアコンや冷蔵庫、除湿乾燥機などの「モーター(コンプレッサー)」を使って動く家電には、「突入電流(とつにゅうでんりゅう)」という厄介な特性があります。 これは、「電源を入れた直後の数秒間だけ、通常の2倍〜3倍以上の莫大な電力が必要になる」という現象です。

普段は750Wで動いているエアコンでも、スイッチを入れた瞬間の「ブォォォン!」とコンプレッサーが回り始める一瞬だけは、1500W〜2000W近い電力をインバーターに要求してきます。 ここでインバーターのパワーが足りないと、「ピーッ!」とエラー音が鳴って安全装置が働き、システムが落ちてしまいます。

結論:定格1000W / 瞬間最大2000W を選ぼう!

単独使用を前提としつつ、エアコンの強烈な突入電流をクリアするための最適なインバーターのスペックは以下の通りです。

  • 定格出力(普段出し続けられるパワー):1000W
  • サージ出力(瞬間最大出力):2000W

このスペックがあれば、起動時の突入電流を「瞬間最大2000W」で受け止め、その後は「定格1000W」の余裕を持った状態でエアコン(750W)や除湿乾燥機(200W)を安全に動かし続けることができます。

ステップ3:絶対に「純正弦波」を選ぼう!

出力ワット数が決まったら、いざAmazonなどで検索!……の前に、絶対に確認しなければいけない「言葉」があります。

インバーターには、電気の波の形(波形)によって大きく分けて2つの種類が存在します。

  1. 純正弦波(Pure Sine Wave): 家庭のコンセントに流れている電気と全く同じ、滑らかな波形の電気を作ります。
  2. 擬似正弦波 / 修正正弦波(Modified Sine Wave): 波形をカクカクの階段状にして、無理やり交流っぽく見せている電気です。その分、値段が格安です。

結論から言うと、エアコンや除湿乾燥機を動かすなら「純正弦波」一択です。

擬似正弦波(安いインバーター)は、スマホの充電や白熱電球などには使えますが、エアコン、除湿乾燥機、冷蔵庫などの「モーターが回る家電」や、パソコンなどの精密機器には絶対に使えません。 無理に繋ぐと、モーターから「ジーッ」という異音が鳴ったり、最悪の場合は家電側の基盤がショートして発煙・故障します。

Amazonで「1000W インバーター」と検索して「おっ、数千円で安いじゃん!」と思った商品は、十中八九「擬似正弦波」です。商品タイトルやスペック表に必ず「純正弦波(Pure Sine Wave)」と書かれているものを、少し高くても絶対に選んでください。ここでケチると、数万円の家電を壊して泣きを見ることになります!

Aliexpressで買うなら少し余裕がある1200Wのこちらがおすすめです。

次回予告:インバーターを動かす「バッテリー」を選ぼう

無事にシステムの心臓部であるインバーターが決まりました。 しかし、この1000Wの大食漢インバーターを全力で動かすには、その電力を供給する「巨大なバッテリー」が必要になります。

次回、「第3回:バッテリーの選び方」では、エアコンや除湿乾燥機を何時間動かしたいか?というリアルな計算式と、放電ロスを考慮したプロのバッテリー選びを解説します。お楽しみに!

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