太陽光発電システムの設置やメンテナンスには、通常のDIY工具とは異なる「電気工事専用のツール」や、高電圧を安全に扱うための「測定機器」が不可欠です。
本記事では、電気工事のベースとなる必須工具から順に、太陽光発電工事で必要になる一通りのアイテムとおすすめをご紹介します。
⚠️【重要】電気工事に関する注意点 太陽光パネルからパワーコンディショナーへの配線や、分電盤への接続など、一定以上の電圧を扱う電気工事には**「第1種または第2種電気工事士」の国家資格が必要**です。無資格での作業は法律で罰せられるだけでなく、火災や感電による死亡事故に直結する恐れがあります。実際の結線作業は必ず有資格者が行ってください。
揃えるべき「基本の電気工事工具」
屋内配線やパワーコンディショナー周りの接続など、電気工事全般のベースとなるハンドツールです。これから資格を取得する方や、一から道具を揃える方は、必要なものがパッケージされたセット品から始めるのが確実です。
電気工事士 技能試験対応 工具セット
VVFケーブルの切断や被覆剥き、のの字曲げなどに必要な「圧着ペンチ(リングスリーブ用)」「VVFストリッパー」「電工ナイフ」「プラス・マイナスドライバー」「ペンチ」「ウォーターポンププライヤー」などが一式揃った基本セットです。現場でも長く使えるホーザン(HOZAN)などの定番メーカー品がおすすめです。本当にこれ1セットが重宝します。
電気工事士にこれから挑戦する人も、既に取られた人もあると大変便利なセットです。
ケーブルカッター
分電盤への引き込みや幹線など、太いケーブル(CVケーブルなど)を切断するための大型カッターです。ペンチやニッパーでは切断が困難な太い電線を扱う際、切断面を潰さずに綺麗にカットするために活躍します。↑のセットで切れない時に購入おすすめです。基本は↑のセットで何とか切れるかと思います。
絶縁ビニールテープ(電気絶縁用)
電線の結線部分をむき出しにせず、電気的にしっかりと遮断(絶縁)するために巻き付ける必須の消耗品です。一見どれも同じに見えますが、必ず「電気絶縁用」と明記されたJIS規格適合品(3Mやニ東電工などの定番メーカー)を選んでください。安価な工作用テープは経年劣化でベタついたり剥がれたりしやすく、漏電の原因になります。
また、太陽光発電工事においてビニールテープは以下の2つの重要な役割も持ちます。
- 配線の色分け(識別): 太陽光は「直流(DC)」を扱うため、プラス(赤など)とマイナス(黒など)を厳密に区別する必要があります。同色の電線を使う場合でも、先端にカラーテープを巻いておくことで、誤接続による機器の破損を未然に防げます。また、アース線(接地線)の識別として緑色のテープも必須です。
- 屋外配線の保護(耐候性): 太陽光パネルからの屋外配線をPF管(保護管)に収める際、管の入り口から雨水が侵入しないように防水・固定目的で巻き付けます。屋外で使用する際は、紫外線や熱に強い「高耐候性・耐熱性」のビニールテープや自己融着テープを併用するのがプロの技です。
プロのワンポイント:黒・白・赤・緑の「4色」を揃えよう 電気工事では配線のルールが決まっています。
- 赤・白・黒: 屋内の交流(AC)配線(単相3線式など)の識別
- 赤・黒(または青): 太陽光の直流(DC)配線のプラス・マイナス識別
- 緑: アース(接地線)の識別
最低でもこの4色を工具箱に常備しておくと、現場での作業性と安全性が劇的に向上します。
圧着ペンチ(色分け注意!)
パワコンや分電盤の端子台に電線を繋ぐ際、端子を圧着するための工具です。赤・青・黄と三種類あるので使い分けを間違えないようにしましょう
一見どれも同じように見えますが、日本のJIS規格などで「圧着する端子の種類によって、工具のハンドルの色が厳密に色分け」されています。
間違った色の工具を使うと、正しく圧着できず非常に危険です。以下の3つの対応関係を必ず頭に入れておきましょう。
① 青色のグリップ:裸圧着端子(丸形・Y型)・裸スリーブ用
金属がむき出しになっている「丸形裸端子(R端子)」「Y型裸端子(Y端子)」や、電線同士を直線的につなぐ「裸スリーブ」を圧着するときは、グリップが青色の工具を使用します。太陽光発電のパワコンや分電盤の端子台接続で最も多用する組み合わせです。
【裸圧着端子の例:丸形】様々な形がありますが、首の部分(圧着部分)がむき出しのものをここでは取り扱っています。
このような首部分が裸の端子は青いグリップ若しくは青い印が付いた圧着ペンチが必要となります。
細いSqの線を扱うことが多い方はP-726がおすすめです。
太いSqの線を扱う方はP-76がおすすめです。
Sq(スケア)って何?となる場合はこちらの記事【第5回】ケーブルの選び方:大電流対策と「sq(スケア)」の秘密をご覧ください
② 黄色のグリップ:リングスリーブ用(屋内配線向け)
VVFケーブル同士をボックス内で接続する際に使う「リングスリーブ(E形)」専用の工具は、グリップが黄色の工具と決まっています。圧着後に「○・小・中・大」の刻印が残るのが特徴です。※これで丸型端子や被覆付き端子を圧着することは絶対にできません。既に紹介したHOZANのセットに入っていますが、もしない場合はこの‘P-738一本あれば家庭内配線は十分と思います。
③絶縁被覆付圧着端子用
あらかじめ根元に赤・青・黄などのプラスチック製カラー(絶縁被覆)がついている端子を圧着する場合は、こちらの工具を使用します。端子を潰さずに被覆の上から綺麗に圧着できるよう、ダイス(歯)の形状が特殊になっています。
圧着端子についてはいろいろと細かいのでまた、別のページで解説をしたいと思います。
安全確保の要「測定機器」
太陽光発電は「直流(DC)」の高電圧を扱います。施工後にシステムが安全に稼働しているかを確認するための測定器は、電気工事士にとっての命綱です。
デジタルマルチメーター(テスター)
電圧や導通を確認するためのテスターです。太陽光発電は直列に繋ぐと簡単に高いボルトになるので、広いレンジを測れるものが良いです。ご紹介するのは共立のマルチメーターですが、今まで使った中で一番おススメです。コンパクトなボディに電圧・抵抗だけではなく、なんと電流まで測れてしまう優れもの。どれだけ太陽光パネルが発電しているかも簡易的に測定できてしまいます。これまでたくさんのテスターを使いましたが、これに落ち着きました。
